
笑いたい時、黙って枝雀師匠を体験すべし!
「宿替え」「池田の猪の買い」収録。
特に枝雀師匠の「宿替え」は大好きなネタだった。
生で観たときの方がはるかに面白かったが、
ここでの「宿替え」も爆笑もの。
風呂敷に荷物を包んで持ち上げようとするが、
持ち上がらないシーン(DVDのジャッケットがその場面)や、
引っ越し先で釘を打ち付けるシーンは爆笑する。

笑いの哲学者
枝雀です。格段に枝雀です。
笑いというものについて深く研究された枝雀師匠であるからこそ、日本人の笑いの本質(日本人が昔理解していたというべきか)をよく表した古典落語を、従来のものとは少し違った味を加えて非常にユニークなものに仕上げていらっしゃる。米朝師匠、小さん師匠などのような深い味わいのある、しかし、小川の流れのようにさりげない、普通に話している状態と違わないほどにまで洗練された噺家も私は大変なファンであるが、一方で枝雀師匠は米朝師匠らと同程度までそのユニークな噺の手法と笑いのセンスを高めておられ、大ファンだ。
「宿替え」では引っ越しをした先の家で壁に釘を打ったら打ちすぎて、亭主が向かいの家に釘出てまへんかと聞きに行く。

不世出の天才落語家
浪花の爆笑王、落語会のピカソ、
100年に1度出るか否かの天才落語家、枝雀師匠。
高座で見せる姿とは違って、普段は練習の虫だったらしい。
あまりにもまじめで、ゆるみがなかったため、悲劇は起こってしまったが、
ただ、私は、枝雀師匠の高座は完成されたものと思う。
実力のない落語家が修行年数だけで、真打ちに上がれたり、
親の名前で、大名跡をついだりする古くさい体質の落語会、
その中で、この人の芸はあまりにも珠玉すぎた。
ただ、なくなった後に、落語のDVDとしては異様な数が売れていることが、
師匠の本当の評価を示しているように思う。
このネタは、いきよいよく演じられているが、枝雀師匠独特の間は、やや浅い。
でも、テンポのあるいいネタである。

「宿替え」でターニングポイント
ここに収録されている「宿替え」「池田の猪の買い」は、いずれも昭和57~58年頃テレビで見た。枝雀師匠が、少なくとも東京管内でやや人気を落とし始めた~少なくとも江戸前に慣れていた私にとって、「くどい」とか「しつこい」と感じられていた~頃である。ここでも、熱演している師匠が、ふと「こんなやり方いつまでも持たないな」という表情をしたのが忘れられない。生の高座は数回しか見てないけど、尊大を承知で言わせてもらえる機会があれば、「師匠、一度、米朝師匠の下でやり直したほうがいいかもしれませんよ、際物で終わってしまいますよ」といいたかった。これ以来、小生は、やや距離を置くようになった。・・・・聞いた順番出レビューを書くので、発売の順番と前後する感想を書くことになると思います。

「宿替え」と「池田の猪買い」
「宿替え」は、お馴染みのお間抜け男が長家をお引っ越しするお話。奥さんとのやりとりが実に絶妙で、荷物を一生懸命かつぎ上げる場面(このDVDのカバーになっている写真がそうです)と壁に釘を打ち付けるシーンは最高ですよ。あと、引っ越し先のお隣さんとのやりとりが実におもしろい!必見です。「池田の猪買い」は、イノシシの肉をわけてもらいにイノシシ打ちの名人に会いに行くお話。その道中からすでに爆笑ものです。また、名人とのやりとりは緊迫感の中におかしさがあり、ぐーっと引き込まれますよ。